コンデンサとは
コンデンサは、電気をためておくことが出来るパーツです。コンデンサの両端の端子に電圧をかけると、コンデンサの容量分、電気を貯めておく事が可能です。
コンデンサの両端子は電気的につながっていない為、直流成分を通す事が出来ないという特徴が有ります。
この特徴を利用して、特定の周波数成分を取り除くフィルタや、電源近くにコンデンサを置く事でノイズを除去することが出来ます。
他にも、コンデンサがバッファとして使用することで、特定の入力信号に対して、遅延を掛けて出力を行わせる事が出来ます。
これによって、例えばマイコンの初期処理(電源ONするまでの間リセット端子をActiveにする等)の簡易的な遅延タイマー回路を組むことも良く行われます。
また、コンデンサはキャパシタ(capacitor)とも呼ばれます。
コンデンサの寿命
コンデンサは他の素子と同様、当然ながら寿命というものが有りますが、抵抗などと比べると比較的短寿命になります。寿命が過ぎるとどうなるかが気になるところですが、一般的にコンデンサは寿命内において、以下の特性を保証します。
(厳密な定義は各メーカーによって異なり、データシートやメーカのWebサイトを見ると確認できます)
静電容量 一般に規格値の±20%以内(メーカーによっては±30%)の静電容量を保持する事。 損失角の正接 変化規定範囲(初期の1.5~3.0倍)を保持する事。 漏れ電流 貯めた電気の漏れが、規格値を保っている事。 |
コンデンサは、寿命はパーツが稼動している温度によって大きく変わります。
温度が寿命に与える影響は、アレニウスの式というもので以下の数式になります。
L = L0 * 2^( (T2-T1)/10 ) L : 推定寿命 L0: 基本寿命 T2: 基本寿命での温度 T1: 使用温度 |
数式だけだと、分かり辛いので実際の製品を例にとって、確認してみます。
例として、日本セミコンから発売されている、SRAシリーズのコンデンサで確認します。
このコンデンサのデータシートは以下のURLから入手できます。
http://www.chemi-con.co.jp/catalog/pdf/al-j/al-sepa-j/004-lead/al-sra-j-120701.pdf
データシートを見ると、右上に85℃/1,000時間保証と有ります。
上記の保証値が、前述の式のヒントになります。
再度数式を見てみると、この情報は以下のように対応付きます。
L = L0 * 2^( (T2-T1)/10 ) L : 推定寿命 L0: 基本寿命 <- 1000時間 T2: 基本寿命での温度 <- 85度 T1: 使用温度 |
このように、製品が決まると変数の2つが求まるので、後は使用温度を仮定すれば、推定寿命が求まります。例えば、使用温度(T1)が85度だと、2^( (T2-T1)/10 )の部分が2の0乗(=1)となり、当然ながらL=1000時間です。
式から見ても分かりますが、温度のパラメータは指数部にあるので、温度が上がると極端に寿命が短くなってしまいます。ですので、コンデンサは高温にならない状況(常温)で使用することが大事です。
温度と寿命の関係を理解しやすくするために、前述の式に対して、使用温度を5度づつ下げていった場合に推定寿命がどうなるかを一覧表を作成してみました。
T1:使用温度 L:推定寿命 ----------- ---------- 85 1,000 80 1,414 75 2,000 70 2,828 65 4,000 60 5,657 55 8,000 50 11,314 45 16,000 40 22,627 35 32,000 30 45,255 25 64,000 20 90,510 |
基本寿命での温度設定から30度下げるだけで、寿命が10倍以上延びることが分かります。
よくPCで、PC本体の換気が悪くマザーボード周辺の温度が上がってしまうと、故障が非常におきやすくなるのも上記の表を見ると一目瞭然です。
※余談ですが、上記の値をエクセルで計算したい場合は、以下の式で求めることが出来ます。
= 1000 *POWER(2,(85-使用温度)/10) |
また、寿命とは関係有りませんが、一般に、コンデンサの容量は高温になるほど大きく、低温になると小さくなる傾向が多いです。
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