ダイオードはアノードからカソードにのみ電流を流すことが出来るけど、逆方向に流す事は出来ません。
この特性の事を、整流作用と呼びます。
ダイオードを作るためには、シリコン(珪素:けいそ)を使用した半導体を使用することが多いですが、シリコンダイオードはアノードからカソードへ電気を流しても、両端の電位差が0.6V以上ないとほとんど電流を流す事が出来ません。
この電圧のことを順方向電圧と呼びます。
一方、電位差が0.6Vを超えると、ダイオードは非常に大量の電流を流す事が出来ます。
オームの法則はE=IRなので、0.6V以下で電流がほとんど流れないという事はダイオードの抵抗が非常に高く、0.6Vを超えると抵抗が非常に低くなるという事が分かります。
順方向電流について、フェアチャイルド社で製造されている、整流用ダイオードとして有名な1N4001のデータシートをチェックしてみます。
グラフから分かるように、0.6Vだと10mAしか流せませんが、1Vで1A、1.4Vになると20Aも流す事が出来ます。
この値を元に各電圧での抵抗値を計算すると以下のようになります。
以下の抵抗値を見ると1.4Vもかければ、ほぼ無抵抗な状態になることが分かるかと思います。
0.6Vの場合 R = 0.6 / 0.01 = 600 Ω 1.0Vの場合 R = 1.0 / 1.00 = 1 Ω 1.4Vの場合 R = 1.4 / 20.00 = 0.07Ω |
ちなみに、1N4001の場合、順方向に流せる電流の最大値は1.0Aなので、このダイオードに1.0V以上かける場合、電源直結にすると電流が流れすぎてしまう事が分かります。
この為、通常は電流制限用の抵抗を直列に入れる事になります。
順方向電圧は、シリコンダイオードだと必ず0.6Vになるのですが、この値はシリコンの原子構造に起因するものなので変更する事は難しいです(難しく言うと、シリコン半導体にある電子が、自由電子となる閾値が0.6Vになります)。
シリコンの替わりにゲルマニウムを使用したゲルマニウムダイオードだと、順電圧降下は半分の0.3V程度にすることが出来ます。
値だけ見ると、ゲルマニウムダイオードのほうがお得では?と思われるかもしれませんが、ゲルマニウムはレアメタルで採取が難しいのに比べて、近年はシリコンの精製が容易に出来る様になったので、シリコンダイオードがポピュラーです。
(もちろん、現在でもゲルマニウムダイオードを使用する場合もあります)
また、ダイオードによっては、1.2Vの順電圧降下が発生するパーツもありますが、これは内部的にシリコンダイオードが2個直列されていると考えれば良いです。
電子回路を構成するパーツの特徴については、ちょっと古い本ですがブルーバックスから発売されている下記の書籍がお勧めです。
図解・わかる電子回路―基礎からDOS/V活用まで (ブルーバックス)
教科書のように理論的過ぎて実用性に乏しいというわけではなく、しかも基本的な仕組みが平易な文章で説明されている良書です。ダイオードやトランジスタの基本的な仕組みは変わらないので、少々古い書籍でも問題ないです。
また、副題に”DOS/V活用まで”とありますが、これは各パーツの特性をシミュレーションするためのプログラムがBASIC等で書かれている為です。もちろん特性の説明は文章でも行われているので、プログラムが分からなくても問題なく読むことが出来ます(というかプログラムの方が補足的です)。
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0.6V電圧時の抵抗計算結果に以下の疑問がありますので、お答え願います。
R=0.6/0.01=60Ωとなり図示の600Ωにはなりませんが?
電流値の設定が違っていませんか?例えば、0.001Aとか?