[電子回路入門]DCモータとは

今回は、直流電源で稼動するDCモータについて説明します。
DCモータと書くと難しそうですが、乾電池直結で動かす事が出来る以下のようなモーターをイメージしてもらえれば良いです(子供向けのラジコンとかに入ってそうなモノです)。

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GP.256 ハイパーダッシュ2モーター 15256 (グレードアップパーツシリーズ No.256)


モータの分類


モータを使用することで電気エネルギーを機械的な動作に変換することが出来ます。
モータにはDCモータ、ACモータ、ステッピングモータなど色々なものがあり、それぞれ以下の特徴を持っています。

DCモータ
    直流電源を与える事でモータを回転させることが出来ます。
    コイルの極性をコントロールするために、通常は物理的な接点(ブラシ)を持ちます。
 
ACモータ
    DCモータとは異なり、内部にブラシなどの接点を持たないモータです。
 
ステッピングモータ
    モータに対してパルスを与える事で、一定の角度だけ動作させることが出来るモータです。




DCモータの特徴

DCモータについてさらに掘り下げると、以下の特徴を持っています。

メリット
    回転速度が電圧に比例する
        モータが無負荷(何もつながっていない)状態だと、電圧を上げるとモーターの回転数が増します。
 
    トルクが電流に比例する
        電流を増すと、ほぼ電流に比例した形でトルクが大きくなります。
 
    起動時のトルクが大きい
        モータの回り始めが力強く回転します。
        一方でデメリットとして、始動時に定格の5~10倍程度の大電流が流れる事になります。
 
    安い
        製造が容易なので、比較的低コストで作る事が出来ます。
 
デメリット
    寿命が短い
        機械的な接点として整流子/ブラシがある為、ブラシの磨耗による寿命が有ります。
 
    騒音が大きい
        整流子/ブラシにおいて機械的な摩擦が有る為、他のモータと比べてうるさくなります。
 
    電気ノイズが大きい
        周辺にマイコンを置くと、ノイズによる誤動作の原因となります。
        ノイズ除去のため、モーターの両極間にコンデンサを入れて、ノイズ除去を行うのが通常です。



大きなモータを使用すると、速度が速くなったりトルクが大きくなりますが、一方で価格が高く、重くなってしまうというデメリットがある為、駆動させたい最大負荷にあったモータの選定が必要です。


DCモータの動作原理

DCモータは電磁石の仕組みがベースになっています。
モータ内にはコイルがあり、コイルに対して電流を巻くと磁界が発生します。
コイルの回りには磁石があり、発生させた磁界と磁石の間で発生した反発力をモータの回転エネルギーに変えています。


モータ使用時の周辺回路

モータの特徴としては、モータの始動・停止に大電流が発生するということがあります。
特にモーターの停止時は、慣性でモーターが止まるまでの間、モータが発電機となる為、モータ駆動時と逆方向に電流(逆起電力)が発生します。モーターの回転をPIC等のマイコンで制御する場合、モータの駆動制御にトランジスタを入れることが多いですが、逆起電力が発生してしまうとトランジスタに対して逆方向(エミッタ->コレクタ)に電流が流れる事になってしまい、トランジスタの破損につながります。

これを抑制するために、通常モータを使用する回路には、モータと並列にダイオードを配置します。
このダイオードの事を特に、還流ダイオード(フリーホイールダイオード)と呼びます。

ダイオードには、電子回路用向けの応答が速いが小電流向けのものと、逆に応答が遅いが大電流向けのものがあります。フリーホイールダイオードに求められるスペックは”整流性があって、大電流を流せる”必要があるので、後者のものを使用します。

また、前述しましたが、モータを回転させると、大きなノイズが発生するため、コデンサもモータと並列に配置します。ノイズの発生理由は、DCモータの場合は、筐体と回転部の間が、ブラシと整流子で接続されていますが、回転している間は断続的にブラシが接触したり離れたりするので、この際にノイズが発生します。マイコン制御を行う場合等で、ノイズが少ないモータが欲しい場合は、ブラシレスモータを使用すると良いです。

コンデンサの容量はモータの性能によって異なりますが、おもちゃのラジコンに使われるような小規模なモータの場合だと、積層フィルムコンデンサの0.1μ~10μFあたりを使用します。さらにノイズを除去するためには、電源をマイコン制御系の電源と駆動系で完全に分け、制御系からの信号もフォトカプラを使用して電気的に絶縁させてしまいます。

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