[RPR-220]反射型フォトセンサを使ってみる



今回は、ローム製のRPR-220という製品を使用して、反射型フォトセンサの動作を確認します。
反射型フォトセンサというのは、LEDで照らした明かりを床などに反射させて、隣にあるセンサー(フォトトランジスタ)で受光することで対象の状態を確認するものです。

反射型フォトセンサは、フォトリフレクタや、フォトインタラプタと呼ばれる場合も有り、フォトセンサの”フォト”は光(photon)が語源です。



反射型フォトセンサの利用場面


反射型フォトセンサは、非接触で物体の有無や位置を検知したり、反射率の違いから色(白/黒)を検知できるという特徴を持っています。

ホビーユースだと、ライントレーサで床に書かれた線を認識させるのに利用する事例が多いです。

ライントレースカーは黒い床に白い線(逆の場合も有り)が書かれたコースを車が自立走行するものです。
床が白い場合は照らした光が反射するのでセンサーが反応し、黒い場合は光が吸収されてしまうのでセンサーが反応しないという仕組みでラインを認識します。

ライントレーサ(左側にセンサーが有ります)

http://www.mcr.gr.jp/amcr/mcr_history2012_100.pdf より

ライントレーサが走るコース(この例では中央が白くなっている)

http://www.mcr.gr.jp/amcr/mcr_history2012_100.pdf より

トレースカーが動作している様子です。


また、民生用ではコピー機や自動販売機の内部で、機械の特定の場所に紙(コピー用紙/紙幣)が有るかを非接触でチェックするなどの用途、他にはエンコーダ、計測器、搬送設備、医療機器などで使用されているようです。



RPR-220の特徴と外観


反射型フォトセンサは、沢山のものが有りますが、今回はローム製のRPR-220という製品を使用します。
RPR-220のデータシートはこちらです。


RPR-220は、価格が安く1個130~150円ぐらいで購入できます。
また、秋月やマルツなどのパーツショップでも販売されており、入手性も良いです。



比較的小型で、ブレッドボードやユニバーサル基板で扱う場合でも場所をとりません。
4本の足が有るのですが、ユニバーサル基板では4マス分しかスペースを取らずに配置できます。




一方高さ方向は6.5mmあり、ちょっと高めです。


RPR-220は、反射型フォトセンサの中では比較的離れた場所の検知が可能で、対象物と6mm離れた状態が最も感度が良いです。また、5mmから10mmの範囲なら、6mmの時と比べて90%以上の感度が有るので、距離に関してはそれ程シビアではないです。

データシートより

発光はGaAsの赤外線LEDを使用しているため、光っている状態が肉眼では確認できません。
反射型のフォトセンサはその仕組み上、外光の影響を受けやすいのですが、RPR-220はセンサーに可視光の遮断フィルタが入っており赤外線のみを認識するので、外光の影響をあまり受けないです。



RPR-220の発光部を確認する


フォトセンサは発光部と受光部があるのは説明したとおりですが、まずは発光部のみの確認を行います。
確認は今回3.3vの電源で行いました。(5Vでも勿論動作するのですが、今回は後でPIC24Fと組み合わせて使用したかったため、あえて3.3Vを使っています)

発光部は赤外線LEDで、データシートを見ると最大定格は50mAまで流せることが分かります。
また順電圧降下は1.34Vです。

赤外線LEDといえども普通のLEDなので、電流制限の抵抗を入れる必要があります。
3.3V駆動で定格の1/3(16mA)ぐらい流す場合の抵抗値を計算してみます。

LEDが1.3V分の電圧を持っていくので、抵抗に掛かるのは3.3-1.3 = 2Vです。
オームの法則よりR=E/Iなので、以下の式より120Ωとなります。

2(V)/0.01666(A)=120Ω


120オームは12*10^1なので、カラーコードは121の”茶赤茶※”となります。
※ちなみに5Vの電源で動作確認する場合は、(5-1.3)/0.01666 = 220Ωぐらいが適切です。

LEDの出力を上げればセンサーの出力も良くなりますが、消費電力が増すので注意が必要です。



次にピン配置を確認しておきます。

上から見たときに、ガワに欠けが無くて、白っぽく見える側が赤外線LEDです。


赤外線LEDは足の長さが異なっており、長いほうがアノード(プラス側)で短いほうがカソード(マイナス側)です。




スペックを確認したら、実際にブレッドボードで確認してみます。

まず、刺し方ですが、以下のように各ピンが同じ列に入らないように注意してください。形状が四角なので慣れていても油断していると間違えがちです。


以下は、悪い例です。これではアノードとカソードがショートします。


先ほど計算した120Ωの抵抗をつけて、回路を電源を繋ぎます。
RPR-220のピンは、右から順にアノード、カソード、コレクタ、エミッタです。

電源を入れても、発光しているのは赤外線なので肉眼では確認できません。


このような場合は、携帯電話のカメラを使用すると良いです。
大抵の携帯のカメラは赤外線を写すことが出来るので、発光しているかどうかを確認できます。但し、携帯も機種によっては赤外線が移らないようにフィルタが入っている場合もあります。フィルタがあるかは赤外線リモコンの発光部を撮ってみると分かります。iPhoneの場合は背面のカメラは赤外線防止フィルタが有るのでダメですが、自分撮り用のフロントカメラならイケるらしいです。


カメラ越しに見ると以下の様に紫っぽい色で発光しているのが分かります。


真上から見ると、さらに良く分かりますね。



RPR-220の受光部を確認する

次に、受光部の振る舞いを確認するために、センサー側の回路を作ります。

センサーはフォトトランジスタになっており、E(エミッタ)と、C(コレクタ)のピンが出ています。

フォトトランジスタは基本的に普通のトランジスタと同じですが、ベースに電流を流す代わりに光を当てる事でエミッタとコレクタの間に電流が流れるようになります。光が入ってこない場合(=床が黒い場合)はCとEの端子が切断され、光が入ってくる場合(床が白い場合)にC-Eの端子がつながるような振る舞いをします。

通常はコレクタをVccに接続し、エミッタを抵抗経由でGNDに接続します。抵抗はセンサーの感度を微調整するために可変抵抗にします。可変抵抗のみだと抵抗を完全に絞ったときに0Ωとなり大電流が流れてしまう為、固定抵抗を直列で繋ぎます。(大電流が流れるとフォトダイオードが壊れてしまいます)

センサー側の回路を作った状態です。

固定の抵抗は、2.2kΩ、可変抵抗は10kΩにしました。
センサーの状態を確認するため、固定抵抗と可変抵抗の間からLEDを繋いでます。


センサーの前にモノが無い場合(又は黒い紙をかざした時)はLEDが光りませんが…


白い紙をかざすと、赤外線が紙に反射してセンサーが反応するため、LEDが点灯します。
(可変抵抗はMAXにしておき、徐々に絞ってみてください)


実際にやってみるとわかるのですが、センサーがアナログなので紙の近づける距離や紙の色によって、LEDの明るさは緩やかに(アナログ的に) 変化します。


RPR-220のセンサー出力をマイコンで扱いやすくする


前述の回路で、反射型フォトセンサは使用できているのですが、センサが拾った値をマイコンに取り込む時、アナログ的な出力変化だと扱いが面倒です。アナログ入力が有るマイコンならアナログ値のまま取り込むという選択肢も有りますが、A/Dコンバータはデータを読み込む(=入力電圧を確定する)のに時間が掛かるため、センサー値を高速に判断したい場合は不向きです。

この為、センサの出力をデジタル化するために、ロジックICを挟み込みます。
ロジックICは74HC04のインバータでも良いのですが、これだとセンサーの出力がICの閾値付近になった場合High/Lowがバタつくので、シュミットトリガ付きの74HC14を使用したほうがマイコンのソフト側の処理が楽チンです。

という訳で、74HC14のICを追加した回路です。


先ほどの回路のLEDがあったところをICに入力させ、出力側をLEDにしています。


ICをかませた後のLEDを確認すると分かるのですが、LEDのON/OFFがデジタルになるのではっきりします。74HC14の出力をマイコンに入れれば良いです。

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